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こみねもすなるだいありー

全然何にも怖くない

関西ジャニーズJr.は永遠の夢を見るか?

知人から「少年たち 格子無き牢獄」を借りた。

今は簡単に手に入れることのできなくなっている映像作品だ。退所した関西ジャニーズJr.が多数出演している。そして現在活躍しているメンバーの過去もそこにある。私はどきどきしながら再生した。私はこれで(劇場で観劇したのは一番最近の"少年たち"のみだが)3つの演目としての「少年たち」を観たことになる。

それぞれに当時の時代というか、風というか、こういう勢いなんだろう、というものを感じた。彼らは気質こそ違うものの、いつも何かに急かされるように舞台でパフォーマンスしている。全員が塊になって、まっすぐ走ってくる。考えていることは各々にあるはずなのに、なぜか弾丸のように固まって観客を撃つ。それはなぜなのだろうと思っていた。

それになんとなく答えが出た気がする。関西ジャニーズJr.には、「出口」がひとつしかないのだ。

イメージとしては、昔話の「蜘蛛の糸」だ。底から一本の糸をめがけて這い上がってくる何人もの少年たち。時折垂れてくる糸を掴んで、光の覗く出口を目指す。一体どれぐらいの人数が糸をつかむことができるのか。8人のこともあるし、7人のこともあるし、時には2人のこともあるだろう。一人が掴んだだけで、容易に糸が切れてしまうこともある。誰がここから出ていくのか。昔話と違うのは、彼らが地獄に落とされた悪人ではないところだ。相手のことを思いやり、どうか一緒に光を目指そうという気持ちがある。

この「出口がひとつ」というイメージを強くさせているのが、「少年たち」という演目と「松竹座」という劇場だ。

演目「少年たち」では、少年刑務所に収監された少年たちが、脱獄を企てる。脱獄しようとするきっかけはそれぞれの公演ごとに異なる(「少年たち」は、これまでに何度か公演され、そのたびに微妙に、時に大幅に脚本が変わっている)が、少年たちが刑務所から出る出口は一つだけだ。彼らはその出口を目指して荒くれた心を結束させ、命を賭して脱獄を試みる。その「脱獄」という行為が、関西ジャニーズJr.自体の行く末を表している気がするのだ。脱獄するならみんなで、と結束し、必死にもがく姿は、自分たちの目的へ向かって結束し、ほの明るい方へ向かって手探りで進んでいく関西ジャニーズJr.に重なる。

そして「少年たち」を公演していた「松竹座」という劇場も、その「出口」のイメージの一つである。
ホールやドームでパフォーマンスするとなれば、おおよその場合360度から観客に見られる。見渡す限り観客、どこからでも視線が降ってくる、というシチュエーションが多い。しかし関西ジャニーズJr.が主に公演を行う大阪松竹座は、そのような構造ではない。基本的に背後から彼らを見ることはできない。彼らがパフォーマンスするのは、「前方にいる観客に向かって」のみだ(もちろん、360度どこから見られてもいいように意識しているとは思うが)。だからこそ、前方へ、すなわちひとつしかない緞帳の向こうという「出口」に向かってのみ突き進む。そこにだけ観客がいるからだ。

全員が、そのひとつしかない出口へ向かって来る。だからこそ勢いを感じるし、熱量を感じるし、関西ジャニーズJr.がここまで「ヒリヒリ」しているのかもしれない。

昨日発売された「日経エンタテインメント!」の、関西ジャニーズJr.の特集ページを読んだ。オーディションに現役のJr.が審査員として加わっていることは、なんとなくは知っていた。けれど、こんなにしっかりと選考に関わっていたとは知らなかった。チャンスが少ない、恵まれていないと言われつつも、彼らはジャニーズとして重要なことをそこからも学んでいるだろう。そして、ひとつの出口へ向かって共に進んでいける仲間を、ある程度自分たちで見極めることができるということは、与えられた一つのカードだろう。

ユニット解体もあり、比較的全体がフラットな状態になった。直近でJr.の仲間入りを果たしたメンバーが、いきなり好ポジションに抜擢された例もある。

東京より、東京に比べてどうこうということを、言っていられる局面でなくなってきた。「一つの出口」である劇場へ訪れた観客たちを、時折ある「チャンス」である大きな会場でのパフォーマンスを見た者たちを、全員まとめて蜘蛛の糸にしてしまうしかない。それを掴んで、全員で這い上がるしかない。途中で手を離すなと、声を掛け合いながら。


底にはいつだって光が差し込んでいる。そこへ向かって行けるかどうかは、彼ら一人ひとり次第だ。貪欲に手を伸ばさなければならない。
次蜘蛛の糸を掴むのは、一体誰なのだろう。それを見届けるために、あわよくば導く光を強めるために、私はペンライトを持って、大阪の小さな劇場へ向かうのかもしれない。


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