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こみねもすなるだいありー

全然何にも怖くない

短歌結社「明星」第十回歌会 お題:「シンメ」

 

こんにちは、お久しぶりになってしまってすみません、芦屋こみねです。

ハロウィンで街もお祭り騒ぎですね。

 

 

 

さてさて今回の歌会テーマは、「シンメ」です。

今回からAsk.fmからの匿名応募も受け付けました。

どんな感じになるか手探りだったのですが、いろいろとありがたいご意見、参考になるご意見を頂けて感謝です。

 

シンメとは何ぞや?という方はこちらを。

ジャニーズ用語の『シンメ』ってどういう意味なんですか? - 左右対象を意味する「シンメトリー... - Yahoo!知恵袋

ジャニーズ最強シンメメンバー!!【名曲】 - NAVER まとめ

 

 

 

 

 

今回ご参加いただいたのは、以下の方々です。順不同。

 

・どんどんさん

・あすなさん(@asnatch)

・柊さん

・りこさん(@flor_rk)

・黑猫さん(@kuroneko_296)

・めいりんさん(@eighter_mei)

・皐月さん(@May21sprout)

・ゆうごさん(@you5two)

・あすさん(@8ppier 2)

・千紘さん(@ybhkkgkhc)

・しおさん(@salz_zk)

・miimoさん(@miimo_2000)

・原さん(@takahirontblanc)

・彩希さん(@d_s_ejnk)

・もえさん(@yamaaaaada15)

・ゆきこさん(@yukikota_s2)

・ののこさん(@aly_yn18)

・すずさん(@yes_suzu)

・うりさん

・あきなさん(@643_g2)

・あかなたさん(@zungry)

・ゆずさん(@chx__iii)

・ゆかりさん

・るかさん

・予定は未定さん(@yote_mite)
・まつりさん
・榎田さん(@eda_century)
・なつめさん(@kamukam)
・朱子さん(@lululu114)
・めぐたろさん(@A3Mgr)
 
他に無記名でのご参加が五名いらっしゃいました。
 
いろいろとご意見を聞いているうちに、「いつも名前を出さずに歌会の様子をお届けしてるけど、別にどなたの短歌か明かして書いてもよいのでは…」と思い、今回は短歌を詠んでくださった方ごとにご紹介いたします。結構みなさん、記事の公開の後「これ私が詠みました」ってしてらっしゃるので大丈夫だと思うのですが、もし何か問題がありましたらご一報くださればすぐに下げます。
 
今回は◎印のあとにお名前、●印の後にこの色でお寄せいただいた短歌、○印の後にこの色で返歌をさせていただいております。コメントをお付けしなかった分の短歌も、返歌の前にまとめさせていただいております~。それではどうぞ。
 
 
 
 
 
 
 
 
◎どんどんさん
幕開き先に飛んだのは君だけど僕にとっては命綱だよ
●そういえば借りてたスプレーどこだっけ 今日の楽屋はちょっと広い
 
一首目は、フライングの様子ですかね。シンメの片割れが先に舞台上の虚空へ飛び出して行って、後を追って飛ぶ片割れが、その背中を見ているイメージ。片割れが飛べなければ自分も飛べないですよね、精神的な問題だけじゃなくて、もし落ちたら、全部終わっちゃいますものね。シンメの関係も。だって死んじゃいますもんね…。そう考えると、二人の男の子が命かけて飛ぶところを目の当たりにするって、すごいエンタテイメントだなと思います。
二首目はちょっと情報が少ないので解釈が難しいのですが、「シンメの片割れが今日だけいない」もしくは「シンメ解消後、一人で楽屋を使っている」のどちらかのシチュエーションなのかなと思いました。いないけど、借りてたものの存在で相手を思い出すという、なんとなく切ない一首。もしいきなり関係が変わってしまえば、借りてたスプレーも言えなかったお礼もそのままになってしまうのですよね~。
 
○亡骸のイメージを抱いて単純におまえがしんだらおれもしぬだろ
○固まった髪の一束ほぐしても友達になんてなりたくなかった
 
 
 
 
◎あすなさん(@asnatch)
●雰囲気も顔も髪さえ違うのになぜ君の目に僕がかぶるの
●作られたものだとわかっているけれどつないだ手と手離しがたくて
 
一首目はタイプの違うふたりが、ぎりぎりまで近づいて、お互いの目の中に映る自分を見つめているシーンを想起しました。目だけが一緒で、ほかの部分には何にも共通点がない、っていうのがいいな~と思います。ちぐはぐ感というか、望んで一緒にいる感じが。すごく運命性を感じる。
二首目はいろいろな思惑から生まれた出会いを、感じとっているっていうところがいいなぁ。出会いが仕組まれているというか、純粋な引力があったってわけじゃないことを理解していながら、自分たちの意思で手を離さずにいるということが。離れることで仕組んだ人間に抗うのではなく、手を離さないことで抗うっていう構図がなんとなく見て取れました。
 
○無防備な部品はまなこだけ首の下からしとどに濡れたたましい
○体中かためる白い思惑に片足ずつをしばられながら
 
 
 
 
◎柊さん
●片割れを持たぬ存在になりたい 語り合う僕ら 片割れ同士
●その場所に昨日の君はもういない ターンの残像 迷子の感情
 
一首目はすごいシンメって概念の理っぽいな~と感じました。オンリーワンになるっていうことを執拗なほど必要とする現代社会で、ふたりでひとつでオンリーワンにされることって、もしかしたらすごく屈辱なことだと感じる子がいるかもしれませんね。それでもお互いがお互いの代わりをできるわけではないし。
二首目は下の句の韻の踏み方というか、音律がとってもいいなぁと思いました。○○の○○っていうのをふたつくっつけたのですね~。「残像」と「感情」は、母音がどちらとも「anou」なので、共通した音が生まれますね。上の句は一番近い存在だからこそ、一番成長や進歩を近くで見られるんだろうな~と思って素敵だなと思います。
 
○右耳にのみしがみつく金色の耳飾りどこにだって行けない
○自意識のフィルターを超えたところにいる神様のふりをしたカストール
 
 
 
 
◎りこさん(@flor_rk)
●わかってる離せない手を上げながら あの子は神の子ぼくは人の子
●確実に運命だった昨日まで 小指の糸できみは首吊り
 
一首目はちょっと下の句が直接的すぎてさめちゃうかな…とも思いました。でもざっくり言い表すことで切れ味は出ていると思います。そっちを意識されたのであれば、すごく正しいと思う。「離せない手を上げる」という動作がどういうものなのかもなんとなく気になりました。手を握ったまま、横に並んで挙げているのかな?プロレスのレフェリーと勝利プロレスラーみたいな感じ?
二首目は上の句が切ないですね~とってもいい。はかなげというか、もろい感覚がよくわかります。小指の糸といえば、人と人との出会いをつかさどるあの糸のことですよね。出会いを運んできた糸で自らの死を選ぶっていう後のなさが悲しくもあり、そうでもして二人の関係を守りたいという意地のようにも見えます。「離れるくらいなら」みたいな。
 
○粛清の炎にほほを照らされる前世のきみに毎夜夢で会う
○絶対に切れないのなら死ねるだろう切れるのならもうきみには会えない
 
 
 
 
◎黑猫さん(@kuroneko_296)
●背中越し 伝わる鼓動 重ね合い 前だけを見る 後ろは見ない
●ぽっかりと空いた片側 慣れた僕 もう片側に 感じる体温
 
一首目はまず「背中越しに伝わる鼓動」ってなんとなく新しいなって思いました。鼓動は大体「抱き合って感じるもの」みたいな感じに思っていたし、そういう表現が多いと思うので、背中同士で鼓動を感じるって新鮮。「背中合わせ」と「前を見て後ろは見ない」ってワードを一緒にしたところにはすごいセンス感じます、だってお互いの背中が背後にあれば、どうやったって後ろは見れませんもんね~。お互いの存在が後ろを見ることを禁じているっていうのにすごいときめきます。
二首目は、前は違う人間、もしくはもっと大人数とシンメもしくはグループを組んでいた「僕」が、たったひとりの人間を片側に与えられた、というところを想像しました。シンメの定位置みたいなものってありますよね、こいつが右で自分が左、みたいな。そういうお互いの決まりみたいなのを感じられていいな~と思います。
 
○後ろ手になにか手探りするしぐさ背後に暗い「じぶん」を背負う
○左利きにくらいなれるよお世辞にも器用ではない右手に代わる
 
 
 
 
◎めいりんさん(@eighter_mei)
●泉棲む孤高の龍の物語 翼授けば女神生まれし
●兄さんといても弟といても、シンメって呼ばれないことを僕は知ってる。
 
一首目はなんか、こういう短歌をお寄せいただいたことがないのでおおお…と思ってしまいました。なんか、本当に失礼かもしれないんですが、ちょっとツッパリっぽいというか、そういうスピリッツ的なものを感じます…すみません…。龍+翼=女神というすごい跳躍力があるな~と思いました。龍に翼を授けるっていうのは、シンメの片割れ同士を引き合わせるってことかな?
二首目はすとーんとした短歌ですが、誰と組まされても、「シンメ」ではなく「兄弟」となってしまう、みたいなジレンマを感じます。ただ短歌自体の中に「シンメ」がそのまんま詠みこんであるので、そこは何か違う言葉に役割を託すと、歌全体の雰囲気が統一されるかな~と思いました。兄でも弟でもダメ、という悲しい意地みたいなのはすごく伝わります。
 
● 木曜の夜はラッパの練習や、へたっぴやし近所迷惑かな?
 
○羽虫でもよかったつばさをむしってもただただむなしいだけおれと居て
○肩に手を置かれて撮った写真では誰も他人になってくれない
 
 
 
 
◎皐月さん(@May21sprout)
●スワンソング対の羽と出会えたよ大空向かい翼広げる
●ターン、ステップ、僕の姿は映らない鏡が消えた月曜の夜
 
一首目はkinki kidsの「スワンソング」ですかね~シンメソングでもあるのかな…。なんとなく最近の「少年倶楽部」で、Jr.のシンメが歌っていたのが記憶に新しいです。片翼ずつ翼を持った少年が、同じように欠けた翼を持った少年を見つけて、ひとつになって、飛べるようになる、ということかな。欠けたまま生まれたっていうのは、逆に一種の才能かもしれないな~と思います。片割れを持つことを許されたっていう。
二首目はシンメの片割れを、自分を映す鏡として見ていたってことですよね。同じ振付をする片割れは自分を映す鏡で、いなければ自分の姿をうまく見ることができないっていう。なんだか空しいですね。自分ひとりでは自分のことさえわからない、不完全な意識を感じます。
 
○お前にもおれにも未来がなかったころまだ空はこんな色でなかった
○暗闇の中ショーウィンドーにはきみとおんなじ体温ばかり感じる
 
 
 
◎ゆうごさん(@you5two)
●明日には地球が弾けてしまうらしい お前が言うならそうなんだろな
●夫婦とか気安く呼ぶな 俺たちは見合いも恋もしたわけじゃない
 
三首提出された中で(どれにも一貫したテーマを感じたのですが)この一首が一番いいな~と感じました。いなしているようにも本気にしているようにもとれる「そうなんだろな」の力の抜け具合、上の句と下の句の温度差がいいです。多分これ、「地球が弾ける」と言った方も「お前が言うなら」と言った方もどちらとも本気ではないのだろうな~と思うのですが、もしこれが本気で地球滅亡の瞬間だったとしても、それはそれでいいですね。
二首目は「旦那」とか「嫁」とか、容姿やキャラでそんな役割を押し付けられがちなシンメが仁王立ちして言い放ってるような雰囲気があります。でも、見合いも恋もしてないけど、それでも一緒にいるのはなぜ?と尋ねたくなる。ビジネスのためであったとしても、一緒にいることで利益があるという状況に変わりはないのであれば、私はなんだかうれしいな~と思ってしまいます。
 
●こんな時お前は泣くから その横で俺がゲラゲラ 昔も今も
 
○星が降る影の下でならさよならと今までどうもを言えるんだろうか
○「お歳暮」と書かれた熨斗紙を額に貼られて俺とお前の出会い
 
 
 
 
◎あすさん(@8ppier)
●ふたりだと立てないまんなか望みつつ 挟んでいたい今はまだ、うん。
●お徳用でもないのに2個入りで売られる僕らもはや唯二無一(ゆいにむいつ)
 
一首目はうまくお互いに離せない「センター」への欲を飲み込みつつ、ぎくしゃくと会話している様子が伝わってきます。どちらかが真ん中に立ってしまえば、ふたりではいられなくなってしまう。それは望んでいる形ではないから、今はまだこのままでいい。上昇する気持ちがないわけではないけれど、二人で行けないのであれば意味がないという、優しいじれったさを感じました。
二首目は「唯二無一」という造語が効いてますね~。ただ二つで、一つにはなれない、一つではいられないという意味かな。皮肉っぽい雰囲気がありつつも、なんとなくそれを受け入れている雰囲気もあります。2個入りの自分たちのことを「お徳用でもないのに」と言ってしまうところとか、自分たちを「売られる」ものだと理解しているところとか、すごく頭のよい、計算のできるシンメを想像します。
 
●気づいたら横にいただけ 振り付けが左右対称だったそれだけ
 
○いつどっちが手を伸ばすのかまだ壊れない砂の城から海を見て
○あきらめのどこが悪くて何がよいかを計算とものさしではかる
 
 
 
 
◎千紘さん(@ybhkkgkhc)
● 顔背丈髪色どれも遠い今運命だけが似ているふたり
●君と彼結ばれてるのは赤い糸?鎖?いつかは手を繋いでね
 
一首目は下の句大勝利って感じです。「運命だけが似ているふたり」ってもう何かのひとフレーズにできる完成度だな~と思います。先ほどあすなさんの短歌で、「目だけが相手にかぶる」って短歌がありましたが、こっちはもう外見の何もかもが違うのに、「運命」だけが同じだっていうことですね。さっきも述べたかもなのですが、ちぐはぐであればあるほど、心臓のところにある「運命」が真っ赤にくっきり鮮明になるのが本当に美しいなと思います。
二首目は「いつかは手を繋いでね」に、ファンの視線を感じました。シンメの出会いって大体仕組まれたというか、大きな「売ろう」という思惑のもとで故意に引き合わされるものなのかなと思っているのですが、それがきっとこの短歌でいう「鎖」なのですよね。自分の意思で一緒にいるわけではなくて、ただ鎖で相手と縛られているっていう。手の甲だけが触れ合った状態で、鎖でぐるぐる巻きにされているシンメの右手と左手を想像しました。いつかは鎖がなくても、手を離さないふたりになれたらいいね、というやさしいまなざしが素敵です。
 
○お互いの予感を信じて落下する目には見えないものを手繰って
○障害物のみこむ大樹の数十年思う隣のおとこのせいで
 
 
 
 
◎しおさん(@salz_zk)
●少年はどこから大人になるのだろう 君の場合は多分手のひら
● 唯一の共通点は肩甲骨 おなじ角度で描くゆるやか
 
一首目は「年齢差のあるシンメを想像した」としおさんが応募のときに添えられていたのですが、それを想像するととっても素敵ですね。年上が年下のふとした手のひらを見て、ああ大人になったな、と実感する瞬間。ふくふくしてた手のひらが、だんだん骨ばってきて大きくなってきたのを感じて、頼りがいのある相棒になったなと思うとき。きっと年下くんはいつまでも年上くんを追いかけるし、目標にすると思いますが、きっと年上くんが年下くんから学ぶこともたくさんあるのです。いいな、年の差シンメって。
二首目は今までも何首かあった「シンメにおける共通点」短歌ですね。今まで「目」「運命」と来て、しおさんは「肩甲骨」。うーんマニアック…。でもこの共通点って、シンメ同士が自分たちの肩甲骨を並べて見ることはできないっていう点でなんだかすごくいいな~と思います。肩甲骨は翼のなごりっていうフレーズもありますし、詩的な雰囲気もありますね。
 
●シロップ漬けのいちごを残し つぎのお皿をただ待つだけのぼく
 
○やわらかなままでいるなら傷つくよ連れていけない場所が減っても
○進化するスピードでどこかに落とした翼のあとが似ているふたり
 
 
 

◎miimoさん(@miimo_2000)
●三角と丸を並べて真四角の箱に入れたらはい出来上がり
●違う卵から生まれて同じ棺に眠るまでの夢を見たよ

 

一首目は字余り字足らずなく、きっちりした短歌になっていると思います。「真四角の箱に入れる」という短歌にぴったりだな~と思いました。シンメのおもしろいところは、丸同士でも三角同士でなくても、同じ真四角の箱に入れるところですよね…。同じものを一括りにしたからシンメが生まれるんじゃないっていう。本来は真四角の箱に入ってからが本番で、ここからシンメとして箱の中でどう足掻くかは本人たち次第ですね。
二首目も、一首目と似た一種の閉塞感みたいなものを感じます。一首目の真四角の箱って棺のことかな?と深読みをしてしまう。この二首をmiimoさんの短歌から選んだのは(彼女はいつもたくさん短歌を応募してくださるのです)、この二つの短歌に共通点が感じられたからなのですが。「真四角の箱に入れる」も「卵」も「棺」も、内側にいるものたちに閉塞感のあるものだなと感じて、何か共通させたい観念があったのかな~と思いました。「ふたりぼっち感」みたいな。いつもちょっと字余り字足らずが多いので、なにかこれにも思惑があるのかな?と思います。一首目のようにきっちりリズムに乗った短歌も素敵だと思うので。

 

●偶然の連続を運命と呼べたらお前のことがわかるかも
●苦しくてさみしい連想ゲームのエンドロールにお前の名前
●背中預けたら心臓溶け合いマーブルまだここでは死ねないね

 

○凹凸(おうとつ)の概念もないすべらかな何も見えない暗闇の中
○最後まであの頃夢見たおとなにはなれないままのふたりぼっちだ

 

 

 

◎原さん(@takahirontblanc)
●ひとりでももう迷わない君といた日々が導く未来があるから
●一年後もし笑っているならば俺はお前の隣にいたい

 

一首目はキリっとした、別れの後の決意があらわれた一首。シンメだったころは「君」に導かれていたんでしょうね。だけど今は「君」はいなくて、その代わり、「君といた日々」が自分を導いてくれる。前進の意思を感じさせるというか、別れの切なさではなく、決意を切り取ったことでさわやかさが出ていると思います。
二首目もかなりストレートな一首です。「一年後」という、短い期間の未来予想なのが、若い男の子らしくていいです。これが「三年後」とか「十年後」だったら、この刹那的な感じはでないと思います。「笑っているならば」=「この世界(ショービズの世界)で生きているならば」でしょうか。考えすぎかな。もしこの「笑っているならば」がただ単純に生きていることを意味していて、「生きているかぎりはお前の隣にいたい」ということを表しているならば、もっと広い思慕を詠んだ短歌になりますね。今回原さんにお寄せいただいた短歌は、別れのにおいを感じさせる短歌が多く、そこも特徴的だったな~と感じます。

 

●三ヶ月経てば慣れると思ってたお前のいない左側にも
●お別れの合図?そんなのないよ俺たちは元々ひとりとひとり

 

○「探しもの見つかりました」まだ切手貼らないままの手紙をしまう
○うなだれたひまわり見渡すかぎり立つ丘から君の手を引いて去る

 

 

 

◎彩希さん(@d_s_ejnk)
●ステージ上お前がハートを飛ばすなら俺はスターさふたりでひとつ
●「これからも俺のとなりはずっと君」この絆なんて儚いものさ

 

一首目はなんだろう…すごく…キザです…。でもこういうシンメがいたら楽しいかもしれないですね。キザキャラシンメみたいな。意外といないですね。ただこれもふたりでハートを飛ばすわけでなく、ふたりで星を飛ばすわけでないんですね。一緒のことはしない。そこになにかこの人たちのこだわりというか、ふたりでひとつだけど個性を出す部分が見えるな~と思います。
二首目はまず一人称の使い方が面白いなと思いました、大体「俺、お前」「僕、君」をワンペアで使う方が多いように見受けられるんですが、この短歌は「俺、君」をワンペアで使ってます。なんとなく「ちょっと頭が弱い、熱血系(俺)」と、「ちょっと計算の上手なぶりっ子(君)」を想起しました。下の句は後者のモノローグっぽい。ずっと一緒にいようと屈託なく言い切る熱血くんと、「そんなのあるわけないじゃん」って思いながら、顔はにっこり笑ってるぶりっ子くん。いいですねぇ。自分の妄想になってしまってすみません。

 

○花降れば星も降らせる伊達男今日だけは目を合わせ踊ろう
○首筋にナイフ突きつけられていることを気づかないまま笑っているきみ

 

 

 

◎もえさん(@yamaaaaada15)
●センターのスポットライト分かち合いいつか必ず二人占めしよ
●髪と服お揃いにして楽しいの?僕らダンスで一つになれる

 

一首目は「センターを二人占めする」っていう、現実には絶対に叶えられない(本当にど真ん中センターに立てるのはたったひとりだけですから)願いを叶えようとしている姿が切ないですね…。今は「分かち合ってる」ってことは、センターを挟んで左右に配置されてるシンメってことなのかな。きっとセンターに立とうとすれば、どちらかはセンターじゃない場所に行かなくてはならなくて、その現実を考えないまま、突き進んでいる二人、という構図が浮かびます。
二首目はいろいろ考えて、「髪と服お揃いにして」というのは「双子ちゃんみたいに似てるシンメ(意図的に似せている?服や髪型をわざとかぶらせる)」もしくは「コンサートに来ている双子ちゃんコーデのファンたち(お揃いの洋服とか流行ってますよね)」のどちらかなのかな~と思いました。個人的には後者かな。お揃いにして楽しそうな女の子たちを見て、そんなことして楽しいのかなぁ?って目を合わせて不思議そうにしてる少年シンメ。そんなことしなくても、僕たちはダンスがあれば一つになれるもんね、っていう。いいですね、なんかジュブナイル!青春ノベル!って感じがします。

 

○万華鏡回した先に立っている自分か君の燕尾の背中
○陰影の先に揃った指先が二人の位置を教えてくれる

 

 

 

◎ゆきこさん(@yukikota_s2)
●ゼロとイチ光と影と昼と夜並べた先に永遠を見る
●「なあ、おい」に返事なくともそこにいるだってね僕がここにいるもの

 

一首目は上の句に正反対のものを並べたのかな…?並べるってことは、それにシンメを見ているってことで間違いないのかな~。正反対のものを並べたところに「永遠」が見えるっていうのは、正反対シンメに永遠が見えるってことだと思いますが、この「正反対のものを背負える」っていうところにシンメの強さを感じます。よく「このシンメは○○くんが太陽で、△△くんが月!」みたいな意見も聞きますが、それはもちろん本当にそうであるわけではなく、そういうイメージを片割れずつが背負うってことなので、そういう自分に余計なイメージを背負う分、シンメって強いなぁと思いました。
二首目はすごい熟年夫婦感!返事がなくてもいることがわかる=僕がいるところには必ず相方もいる、っていうことで大丈夫でしょうか。いや~信じ合っちゃってますね!こういう二人の間だけにある、妙に大きい確信みたいなのっていいですよね。周りは見えてないかもしれませんが、相手のことは死ぬほど信じてるっていうか。

 

○二進法蹴飛ばして土砂降りの中見慣れない街転がりながら
○たい焼きにあんこ入ってないだけで一生笑って暮らせるね、完

 

 

 

◎ののこさん(@aly_yn18)

●0番を横目でつかむまなざしに今日も負けじとついていくだけ
●もうひとりの”僕”にも当たれ歓声とてっぺんからの白いライトを

 

一首目はセンターを見据えているシンメ。先ほどもえさんの一首目では「いつかふたりでセンターへ」と望むシンメが詠まれていましたが、こちらは「センターに立てるのはひとりだけ」とハッキリ確信している感じがします。どちらかしか0番に立てなくて、仲間だけど、あいつには負けたくないっていう情熱と執着が見えて熱いです。シンメに「センターから同じ距離」っていうイメージがある(というか、元々の意味のシンメはそういう意味ですよね…?)ので、センターから同じだけの距離隔たっているふたりが、虎視眈々とセンターを狙って切磋琢磨している感じがとてもよいです。
二首目は一首目とは少し雰囲気が違って、「ライバルだけど、あいつにも祝福を」と願う純粋な短歌。ライバルであったとしても、一番近くで努力を見ていれば、そりゃこういう気持ちにもなりますよね…。個人的にはやっぱりこういう「あいつにも」という気持ちも、シンメの醍醐味だなぁと思います。口に出さなくても、視線とか態度とかでそういうのを感じるとジーンとしますね。

 

●明日踏むステージふたり違ってももう戻れない進むしかない

 

○真ん中を向いて立ったらぶつかるまでチキンレースをしよう相棒
○恵雨待つ気持ちの客席いまはただ神様がいることを祈って

 

 

 

◎すずさん(@yes_suzu)
●知っている。居残り鼻血メンマ嫌い 知らない。君が散らす星の名
●おそろいを買えるお店は知らないから、もう30回繰り返すだけ。

 

一首目はちょっとへっぽこな感じがよいですね!そして上の句と下の句とのギャップがよいです。居残り鼻血メンマ、と来て、下の句で散らす星の名、と来る。おもしろい。個人的に、プライベートというか、舞台上以外のところにいる「君」のことはいくらでも知っているけれど、お互い舞台の上に立っているときの相手のことは何もわからない、ということを詠んでいるのかなぁと思いました。近くにいればいるほどわからないこともあるよな~と。
二首目はおそろいを買うことより、お互いが「おそろい」になるよう繰り返そう、という不思議な決意を語っている風に感じました。この二人にとっては、おそろいを買ったとて、お互いがおそろいにならなければ意味がないのでしょうね~。かっこいいな。個人的に三十回っていう回数が、大体ひと月くらいぶっ通しで興行する舞台のことを想像させました。考えすぎかな。でも「舞台のためにシンメ結成されて、その間に完璧なシンメになるために、”おそろい”の公開特訓を毎日一回、30回繰り返す即席シンメ」ってすごいかっこよくないですか…。

 

○全部気のせいだったからもう一度やりなおすすべもわからないでいる
○無理矢理に組んだ右手と左手にくい込む爪と血眼の日々

 

 

 

◎うりさん

●最近は得意なパズルもはまらない泣きながら観る学園ドラマ
●この足が1人で歩けるようになったら、一緒にあのてっぺん、いこう

 

一首目は、シンメの片割れがドラマに出演しているのを、もう片割れが自宅でひとりで見てる…みたいな感じですかね。「学園ドラマ」っていうところが、シンメの姿を想像させていいです。片割れは自分がそのドラマに出演できなくて悔しかった気持ちと、純粋に感動している気持ちの両方によって涙が出ているのかな…と。たぶん本人は涙のわけもわからなくて、ただ「なんで泣いてるんだ俺」と思いながら泣いているのかもしれないですね。

二首目は区切れはこのあしが/ひとりであるける/ようになっ/たらいっしょにあの/てっぺんいこう ですかね…?どう区切ってもうまく読めなくて難しかったです、もし何かの思惑があってこういう風にしているのであればぜんぜん大丈夫なのですが、もし特になければ、もう少し整えたほうがいいかなぁとは思いました。ふたりでてっぺんを目指すのではなくて、あくまでもひとりで歩けるようになっててっぺんへ行くことを望んでいるのですね~。シンメが「ふたり」ではなくて「ひとりとひとり」に見えること、ありますよね。そんな姿を彷彿とさせる一首です。

 

○リモコンのボタンの上「戻る」こと「決定」すること選べなかった

○ふたりではなくてひとりとひとりなら壊れることもこわくないだろう

 

 

 

◎あきなさん(@643_g2)

●絶望と いう名のピースが 合わさった だけどその 絶望こそが 希望だったんだ 

●右を向く いつしかそれが 僕のクセ 一人でいても 消せない記憶

 

一首目はこれも区切れがないというか、下の句ちょっとずるずる~っと来てしまってもったいないな~という印象です。下の句をちょっと変えるなら「その絶望は希望でもあった」とか「合わさってそれは希望に変わる」とか、いろいろ磨けるかなと思います。もしお時間あれば、いろいろいじくりまわしてみるとおもしろいかもしれません。「絶望+絶望=希望」ということなのでしょうか、それともお互いを絶望だと思い込んでいたけれど、本当は希望だった、それに気付けなかっただけだった、ということでしょうか…。どちらにしても、陰陽混じった短歌だと思います。コントラストがある。

二首目はリズムキレイですね!シンメでいるということは、自分ひとりを見つめ直すことでもあるかもしれないな~と思いました。ひとりでいることにアイデンティティを見出すことも大事だと思っているので、こういう「ひとりになった瞬間に片割れのことを思い出す」というのはすごく重要だと思います。あいつがいなきゃだめなわけじゃないけれど、やっぱりあいつといるのも大事だ、っていう。

 

○ライト消えた後のぬらつく目を見たら消えたいだとか言えないままで

○チューブから出したての青暮れる日の紫を見る赤い太陽

 

 

 

◎あかなたさん(@zungry)

●交換するよ21グラムの青い薔薇12時の鐘はまだ鳴らさない

●僕が右、君は左を狙い撃ちスパンコールの雪を降らそう

 

一首目の「21グラム」は、いわゆる「魂の重量」ですね、たぶん。気になる方はぐぐったら面白いかも知れない。魂を象徴する薔薇、しかも青い薔薇(自然には作り出せないとかいろいろ言われてましたよね~)を交換する、という行為は、何か自分たちの持った「戦うための意思」を交換しているようにも見えますね。俺とお前でやってやろうぜっていう。かっこいい。魂の交換。

二首目はこれも「シンメ」から「左右」を連想して生まれた短歌かもしれませんね。何か大きく膨らんだ風船のような思惑(ファンの期待や高揚感の象徴)を撃って、そこからスパンコールがぶわーっと飛び出して舞い散る…という情景が頭に浮かびました。スパンコールはアイドル短歌においてキーワードですねー。今までの歌会でも何度か登場してます。でもスパンコールを雪に例えてるのは初めてかも。キラキラ輝くスターダストみたいなスパンコールを、雪みたいに手のひらで受けるシンメを想像しました。素敵な一首。

 

●手鏡をくれた君の代わりに僕は何色の糸をあげればいい?

●カノンよりフーガがいいと嘯いたゼロコンマのずれが僕らの主張

●昨日までの友達にさよならを言うよ。こんにちは運命のヒト。

●今日未明同時に向けた銃口旗が出るのか弾が出るのか

 

○手に入る王冠はひとつ夜が明けるまで裏切りの歌を歌えば

○かじかんだ指と紅潮した頬の両方にふれ溶ける歓声

 

 

 

◎ゆずさん(@chx__iii)

●じゃんけんぽん君に肉まん買ってあげる 街頭暗くない?同じ歩幅で

●そのおわり苦手なんだね左右手足 俺もいっしょにとまってあげる

 

一首目は軽妙な感じ。会話をしているようで、「ふたり」がテーマの今回には合ってるな~と思います。こういう「じゃんけんして負けた方がおごる」みたいなの、青春っぽくていいなと思います。シリアスな雰囲気もシンメには似合いますが、こういう仲良し!みたいなのもいいですね~。

二首目はおそらくダンスの苦手な振り付けで止まってしまう片方に合わせて、もう片方も一緒に立ち止まって教えてあげる…みたいなシチュエーションだとおもうのですが、個人的に、もっと何か大きな「おわり」(たとえば自分が芸能界を辞めることへの「おわり」や、ふたりのシンメの「おわり」など)を前に、立ちすくんでいる片割れを見て、一緒に止まってそばにいる片割れ…という妙に暗いシチュエーションを想像しました。シンメであったとしても、人生を左右する決断のときはお互いひとりひとりで決めなければならなくて、そんなときそばにいることしかできない、という無力感を感じるような気がします。そばにいてもらえることで救われることって、きっとたくさんあると思いますけども。

 

●くるくるくる愛ふりまいてあれ?隣! 肩組むショットが街に流れる

 

○ヘッドライトかわして国道沿いの道手袋片方貸したままの冬

○からっぽのぬけがら誰にも壊させないよう守るからふりむかないで

 

 

 

◎ゆかりさん

●好きなのは君じゃないの君だけど。あの子の隣で笑う君が、好き。

 

これはすごーく共感できるというか、あるよね…という一首だと思います。ひとりの子を追いかけていると、一番輝くのはこの人の隣にいるときだ、と確信することってありますよね。一番楽しそうというか、のびのびしているというか。ただ単に「○○くんが好き」ではなくて、「△△くんの隣にいる○○くんが好き」みたいな気持ちになりますよね…。一番あの子の笑顔を引き出してくれるのは彼だという。一緒にいてくれてありがとうって思っちゃいますよねあんたふたりのなんなんだって言われるのわかってるのに…。なんかすいませんちょう共感して短歌へのコメントじゃなくなっちゃってる…。

 

○一番はあの人にあげていいくらいあなた救われてるよあのひとに

 

 

 

◎るかさん

●弱点も武器に変えられる僕らはきっと明日をぶちやぶれるよ

 

なんか…すごくリズムが惜しい…!!「僕たちは」ではだめだったでしょうか…!?でも「僕ら」と「僕たち」って結構ニュアンス違う気もしますね…うーんむずかしい。「ぶちやぶる」がいいですね、力任せでゴリゴリ行く感じが。ひとりよりふたりで、無鉄砲に進んでいくところも、若いシンメの魅力かもしれませんね~。弱点も武器に変えるって、正統派なだけじゃだめな今の風潮にすごく合ってますね。

 

○AとB書かれたドアの向こうまだ折れないこころ見えない明日

 

 

 

◎予定は未定さん(@yote_mite)

●運命を汗ばんだ手で手繰り寄せ出会ってふたり、指切りをした

●『親友』や『ライバル』とかで縛れない、辞書にないから上手く呼べない  

 

一首目は、お互いが出会おうとして出会った感じが素敵だな~と思います。運命の糸っていうのは小指に結ばれているっていうのが通説で、小指に結んである糸を手繰って近づいていって、最終的に小指同士で指切りをする…っていう流れが見えました。お互いが望んで出会ったんだと言い切れるシンメって、すごく強いかもしれませんね~。

二首目は下の句がお利口な子たち、って感じでいいなと思いました。定義されていなければ、自分たちをうまく位置づけることもできない。親友でもライバルでもなくて、「シンメ」は「シンメ」としか言い表せない間柄なのですけれども、それさえも自分たちでハッキリと言い切れない…みたいな脆さを感じて切なくなります。「おれたちはシンメ」だと言い切ったときから、ふたりの何かが始まるのかもしれませんねぇ。

 

●色相環 向かい合わせに立たされて競え・補え(聞こえてるって!)

 

○見えてないのはわかってるどこにあるかもわからない本心と夢

○赤線を引っ張ったのち机までにじむインクに名前をたずねる

 

 

 

◎まつりさん

●恋人ならきっと文句が言えたんだ 今日から裂かれてイッツオーバー

● 仲良しのふりをするのも楽じゃない そう言いながら寄り添っている

 

一首目は「イッツオーバー」でHey! Say! JUMPの「OVER」を連想してしまいましたぬるヲタでごめんなさい…。微妙な距離感のせいで何も言えないまま、すれ違い続けていつか会えなくなってしまうふたりを想像しました、かなしい。「恋人なら」「家族なら」「友達なら」文句が言えたんでしょうね、きっと。「シンメ」だから言えなかった。近すぎるのか遠すぎるのか、それは私たちにはわからないのですが、きっとあるんでしょう、そういう不思議な距離感が。

二首目は全体から漂う天邪鬼感がよいですね~。無理して仲良しのふりをしているうちに、いつの間にか一番心を許せる相手になってしまった、というふたりを感じました。きっと最初は「いけ好かないやつ」とか思ってたんでしょうね…。一緒にいる時間がいろんなことを溶かしたりほぐしたりしてくれたんでしょう。「ふたりであること」を求められた結果、お互いが一番「ふたりでいたい」と思いに至ったという、個人的にすごくほっこりする短歌でした。

 

○恋人も友達もぜんぶ誰かのせいだった電車の窓に映るにせもの

○足踏み合いながら手の甲つねり合いながらお互い振り回しながら

 

 

 

◎榎田さん(@eda_century)

●君がいるこの世界との物語その語り手は僕が担おう

●お揃いの前髪の角度変えてみたワックスが作るアイデンティティー

 

一首目は、なんとなく「主人公」という言葉が頭をよぎりました。「君」との物語を語る主人公が「僕」。主人公が語る種類の小説のような印象です。おそらくお互いがお互いのいる世界の物語の語り手として存在できる。お互いがお互いの語り手になれるけれど、たぶんそれぞれの見ている世界は全く違うものなのだと思います。うーんポエミー…。

二首目は「前髪」なのがかわいいですね。「髪型」じゃないんだ。きっと分け目をシンメにしたりしているんでしょうね。でもきょうは自分だけの前髪の角度にして、そこにアイデンティティーを見出そうとしている。「ふたり」ではなくて「ひとりとひとり」になろうとしている。俺は俺なんだというちょっとした意地みたいなものが見えます。でもひとりで突っ走ったりということはしなくて、ただ前髪の角度を変えるだけ。その小さな反抗がかわいいです。

 

○結末は同じ言葉で結べるよういますれ違う言葉を汲んで

○気づかないはずだったでしょ「変えたの」と言われたらぼくが子供になった

 

 

 

◎なつめさん(@kamukam)

●この指を解いてしまえばもう来ない明日があるって今は知ってる

●足首に絡んだ紐が解けないままでいいけどべつに、きみとなら

 

一首目は、一度別れを経験しているシンメ、みたいな印象を受けました。以前大事な誰かとの別れを経験(シンメ解消とか、グループ解散とか)している人間が、今度こそは離さないと、必死になって手を握ったままでいる。離したら二度と会えなくなるかもしれないと知っているから、ムキになってでも絶対に離さない。私たちがそういう執着をまざまざと目にすることはそこまで多くないかもしれませんが、こんなふうに思っている子達もいるのかもしれませんね~。

二首目は「二人三脚」ですかね。ふたりで進めるけれども、ひとりで走るよりもずっと遅くなってしまうし、行動も制限される。だけどこのままでいいと。速さよりももっと大事なものがあるからなんですよね、たぶん。「いいけどべつに」と言ってはいますが、きっと「こうじゃなきゃだめだ」くらいに思っていますよね…。一首目も二首目も、「絡む」「解く」「紐」などと、そういう感じのイメージが大きく押し出されているな~と思って面白かったです。

 

●騙されてくれよこの夢を生きるため向かい合わせで魔法をかける

●ああ、あいつ?いい奴だったよ、今何処で何をしてるか知らないけどね

 

○いっそひとりひとつと言い切ってくれれば失うことはなかった あの日

○転ぶとき休むとき前に進むときなんでもひとりでできないふたり

 

 

 

◎朱子さん(@lululu114)

●細い喉互いの欠片を呑み込んで流れ出す血が夢の差し色

●ライバルも仲間も師匠もラスボスも俺じゃなきゃ嫌おまえの夢路

 

一首目、痛々しいですね。その痛々しさがよいです。お互い夢へ向かっていく過程で出逢ってシンメになってしまったから、お互いの欠片(言葉とか信念とか、そういうものかなと思いました)を呑み込まざるを得なくなって、その結果傷ついてしまう。上手に傷つかずに一緒にいることもできるけど、それじゃ夢には届かないし、特別な誰かにはなれないから、一生懸命傷つく、みたいな、ひたむきさと感じました。

二首目も「夢」が共通してますね。相手における全ての「キーパーソン」になりたいという、バカバカしいとも思えるほどの強欲さ。夢を追う道のりの中で一番の味方でもありたいし、一番の壁でもありたいと願う整合性のなさが少年らしくて好きです。ずっと一番そばで手を貸して貸されてきた相手が、自分にとっての最後の壁だったとわかるとか、すごいアツい展開ですよね…少年漫画っぽい…。

 

○透き通る体に逆流する血潮とにかく君の心臓がほしい

○お膳立てされた舞台を降りてこの予感が示す君を倒したい

 

 

 

◎めぐたろさん(@A3Mgr)

●約束はおもりを付けて沈めたよ星屑散らした海原の底に

 

もう二度と目にすることのない約束、ってことですね。約束したことはしっかりふたりの脳裏に焼き付いているけれど、その約束を手元に置いておくことははばかられる、ということでしょうか。二人だけの秘密の約束。誰かに知られてはならない、絶対に叶えなければならない約束。ここだけふくらませるとかなり暗い印象の短歌になると思うのですが、「星屑」のおかげでちょっとキラキラ感がプラスされてるかも。「暗さ」と「キラキラ」のどちらを強調したかったかにもよりますが、アクセントにはなってるかなと思いました。

 

○本物の正解を得ることだけが約束だって覚えておいて

 

◎匿名さん①

●幕が下り衣装を剥いだその後は帰り道さえ知らないふたり

 

舞台から降りて魔法がとけたあとは、普通の男の子ふたりに戻ってしまうのですね。魔法がかかっている間は最高のふたりでいられるかもしれないけれど、現実はただ寒い街角に放り出された、迷子のようなふたりで、夜の闇に怯えて立ちすくんでいる。情景が浮かんでくる短歌でした。衣装は「脱ぐ」ではなく「剥ぐ」のですね。しかもなんとなく能動的でなく受動的な印象を受けます。自分たちで魔法をかけることができるほどの力を、きっとまだ手に入れてない、未完成なシンメの短歌かなと思いました。

 

○カッコ悪いヘンなTシャツしか持ってないけれどスーパースターになりたい

 

 

 

◎匿名さん②

●消えたんだ でも伝説になったんだ まだ温かい屍残して

 

消滅することで(シンメとして死ぬことで)伝説になったシンメ…なんとなくいくつか頭に浮かぶシンメがあります切ないね…。やっぱり消えるのってずるいですよね、伝説として語り継ぐしかないですものね…。「まだ温かい屍」ということは、いつかは冷たくなって腐って本当に消えてしまうのでしょうか。そんなのは嫌だ、と思って、必死に屍を守ろうとする人たちもいますね。

 

○眠ったままもう七年も目を覚まさない夢から戻ってこないあなたへ

 

 

 

◎匿名さん③

●天秤がゼロを示してつり合った見た目も顔もタイショウなのに

●階段にポツリとあったレッスン靴ピッタリ合う人此処にはいない

 

一首目は差し引きゼロなシンメの短歌ですね。一方のマイナスを一方がプラスとして持っていて、一方のプラスを一方がマイナスとして持っているから、天秤の両側に一人ずつかければ、目盛はゼロを示す。「タイショウ」は「対称」かな?でもカタカナにしてるってことは、ほかに何か含ませたい意味があったってことですよね。「見た目」と「顔」というちょっと似すぎた単語を並べたのも、その「タイショウ」の意味と引っ掛けているのかな。

二首目は小物が生きてますね~。レッスン靴。アイドル版ガラスの靴。靴のサイズがどうこうと言うのではなくて、この靴を履いて努力し続けてきた、おれのシンメはお前しかいないんだ、という一首ですよねきっと。

 

○おれが重いお前が重い少しずつ押し付け合ってつり合う直列

○お別れをいつも予感として胸のどこかにリボンをかけて準備する

 

 

◎匿名さん④

●背中から全部伝わる 汗も血も涙もお前と流すと決めた

●「運命とか、信じる?」渋谷の雑踏に紛れて君に呟いてみる

 

一首目は「背中から伝わる系シンメ」だ!シンメ短歌から受ける画面って、この「背中合わせ」と「センターをはさんで線対称、鏡合わせ」と、「鏡面に手をついてもうひとりの自分を見つめている」って感じが多かったかな~と思います。背中から全部伝わるわけはないのですが、それをまるのみ信じることができれば、「全部伝わっている」ことになるのかな、と思いました。お互いが「伝わってる」と信じればおんなじことだな~と思って。

二首目は「渋谷」っていう地名が出てきたことで、彼らのいる世界がくっきり鮮明になった感じがします。それがすごくいい。つぶやかれた方がハッと顔をあげる瞬間あまで見えてくる感じがします。渋谷が象徴するものやこと、人たちの中に埋もれて、ただの男の子ふたりとしてむき出しの会話をしているところがなんとなく愛おしいです。

 

○大体のおんなじ構図とお決まりの言葉はぜんぶぶっ飛ばしたい

○本当に話したいことはまだ言えない時間の止まった横断歩道

 

 

◎匿名さん⑤

●緊張してるアイツなんて見たくないからガチガチだよ大丈夫?

●いつかあのステージで2人歌いたいからさ日々が愛のかたまり

 

一首目は区切れが複雑というか、不規則かな。ガチガチ感はあると思います、緊張している片割れを励ましているうちに、自分もガチガチになってしまった…という場面はすごく浮かんできます。もし不規則な区切れとリズムでそれを表現しようとしているならすごい短歌だな~と思います。きっとどちらも正常な判断ができなくて、ふたりでもつれあいながら空回りしている感じがいいなと思います。

二首目は、うーん、下の句のほとんどを既存曲の歌詞で表現してしまったのは、いいのかなぁ…とも思います。やっぱり件の「愛のかたまり」に気持ちが引っ張られて、その歌の持つ「シンメ力」みたいなものにこの短歌のほとんどが寄りかかっているような気がするなぁと思ってしまいました。すみません。先ほども曲のタイトルが詠みこまれた短歌があったかとおもうのですが、すごく難しいテクニックというか。ひとつのアイテムとして曲のタイトルを詠み込むというものはあるとおもうのですが、これは少し違うのかなぁと思った次第です。変なことを長々とすみません…。

 

○触れた場所からぐずぐずにかたちなくなってゆく見てぼくをちゃんと見て

○細切れの音符ちぎれて2本だけ愛するためにわたされたマイク

 

 

 

 

 

 

 

みなさんからお寄せいただいた短歌は以上になります。みなさんたくさんの短歌をありがとうございました~!

今回からご参加のみなさんも、熱の入った短歌、嬉しかったです。なるべくみなさんの短歌に寄り添ったひとことが言えればいいな、と思ってコメントを書きました。またお待ちしております。

 

 

 

さてさて、次回、明星第十一回歌会のお題なのですが、最近そういえば「二次元(漫画とかアニメとか)のお題もしよう」という話で発足した明星だけど、今まであんまり二次元のお題やってなかったな……と思いましたので、ちょっと一念発起して考えてみようかな~と思った結果、こんなことになりました。短歌…来るかな…。

 

というわけで、明星第十一回歌会のお題は、「うたの☆プリンスさまっ♪」でお願いいたします!

 

PSPの恋愛アドベンチャーゲームからはじまり、アニメにキャラクターソングと精力的なメディアミックスを続け、いわゆる「中の人」たちが行うライブは毎回満員御礼。コンテンツ力としてはものすごい規模まで成長していますよね。短歌ともメディアミックス(?)できるかな?ということで、今回選んでみました。どうなるだろー。


うたの☆プリンスさまっ♪公式Webサイト - PSP®専用乙女ゲーム

 

 

ちょっと短歌をお送りいただける方が限られてくるのかな…と思いますので、積極的な拡散をお願いできればと!思います!笑

 

 

短歌の応募方法は、私のTwitter(urahara0811)のDMもしくは短歌結社明星の専用Ask.fmアカウント(短歌結社「明星」 | ask.fm/tankaakeboshi)からお送りください。Askからお送りいただく場合は、①お名前(ご希望ならTwitterのアカウントも)②ご応募いただく歌会のテーマ(今回ならうた☆プリです)③お詠みいただいた短歌、という風に、必要事項を明記してお送りいただきますようよろしくお願いいたします

 

 

 

 

 

明星第十回歌会の記事は以上となります。

 

 

最後になりましたが、みなさんのお力のおかげで、「明星」を第十回まで続けることができました。本当に感謝、感謝です。私の「やりたいなぁ」の気持ちを叶えてくださるのは、いつもみなさんだと実感しています。ここで改めてお礼申し上げます。そしてこれからも、明星と芦屋こみねを、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

それでは、第十一回歌会でお会いできるのを楽しみにしております!

さようなら~。